第32巻 勉強会


秘書の役割のひとつに、勉強会のセッティングという仕事があります。

自民党本部で開かれるような党本部職員が全て手配してくれる部会とは別に、議員連盟のように有志で開催する勉強会は全て事務局の議員事務所が手配します。

山本幸三代議士は、秘書の苦労を顧みずに何でも引き受けたいタイプで、結構大変なんです。



事務所に入りたての頃、こんなことがありました。


連日、朝早くから夜遅くまでの業務で疲れきっていたある日の朝、勉強会のセッティングを終え、後は国会議員の先生方を待つだけと準備万端。
ヾ(@^▽^@)ノ


やっと山本幸三先生が来たなあと思っていたら、なにやら“マネーサプライ”とか“マンデル・フレミング理論”とか聞きなれない経済用語の羅列で、意味不明な私にとって活発な議論は子守唄のよう。

頑張って起きていようと思っても瞼の重さに耐え切れずまさかの爆睡。

ふっと目を開けると、目の前には人ひとりおらず、既に勉強会は散会。
ノ( ̄0 ̄;)\


『どうして、山本幸三先生は起こしてくれなかったんだろう・・・他人のフリをされたのかな。それとも、怒って出て行っちゃったのかなあ・・』


と内心ハラハラしながら事務所に戻ると、既に事務所内で執務に戻っている山本幸三代議士の姿が・・・Σ( ̄ロ ̄lll)

“ヤバイ!”“どうしよう!”と戸惑っていると、山本幸三代議士から『これコピー3部とって』と何もなかったかのように指示が・・・

当時は、“寝ていたのに気づかなかったのかな”とシメシメとほくそ笑んだ私ですが(*゚ー゚)>、今考えると気づかないはずがなく、山本幸三代議士の優しさだったのかなと思います。